ブラジル 食糧輸出大国への道 ~未来の超大国か陽気な地獄か~

画像ブラジルは200年近い歴史と、世界5位の領土を有する大国であり、未来の超大国として期待されてきたが、長らくインフレに悩まされ続けてきた。Bricksとして脚光を浴びるようになってからも、その産業については中印の影に隠れがちであり、資源についてもロシアの後塵に配してきた。
Bricksの末席に位置してきたブラジルだが近い将来、米国を抜いて世界最大の農産物輸出国になろうとしている。米国の前国務省長官コリン・パウエルも「農業超大国」と呼んでいる。

ブラジル農業躍進の秘訣は、同国の農牧研究公社「エンブラパ」にある。エンブラパは、リンや石灰を土壌に注入することで、これまで不毛とされてきた1600㎡にわたるサバンナの大地を一大穀倉地帯へと変えた。また熱帯では育たないとされた大豆の品種改良にも取り組み、見事栽培に成功した。 エンブラパは過去30年ほどで、世界で最も進んだ熱帯農業の研究機関となった。近年ではバイオテクノロジーやバイオ燃料の研究・開発にも乗り出し、ブラジルを訪れるすべての第三世界の政治家や指導者が必ず足を運ぶ研究施設となっている。
エンブラバはさらに
これによりかつては不毛の大地だといわれてきた土地で
「かつてあの土地からは何も生まれないと言われていました」と、インドなどで食糧増産に成功し、ノーベル平和賞に輝いたノーマン・ボーローグは話す。「でもエンブラパは見事にその難題を解いたのです」「ブラジルの農業技術が進んでいるのは、知的財産を売って利益を得ることや、民間企業と合弁会社を設立して資金を調達、最近では、ドイツの化学大手BASFと遺伝子組み換え大豆の共同研究・開発を行うことを発表している。
現在エンブラパがとくに力を入れているのが、小麦の品種改良だ。現在ブラジルはアルゼンチンや米国から小麦を輸入しているが、自国で小麦が栽培できるようになれば、世界最大の食糧生産国になることは間違いない。




以下に農林中金総合研究所のレポートより、要旨を転載する。

1 ブラジルは,1990年代後半からの輸出急増で2005年に農産物輸出国のトップ5に入っ
た。農産物純輸出額では2001年にフランスを抜き世界トップへ浮上し,上昇を続けている。
これは,ブラジルの農産物輸出構造がコーヒー等伝統的な品目から,所得弾力性の高い大
豆や食肉へシフトしたこと,これらの商品に対する中国やロシアなどの需要が大きかった
ことと深く関係している。
2 ブラジルの農産物輸出が急増した最大の要因は,セラードという広大な未開拓の土地が
あり,その土地を農耕適地に転換させる技術と種子を農牧研究公社によって開発したこと
である。こうした基礎要件を現実の生産と輸出拡大につなげるには,90年代の経済自由化
改革によりブラジルの農業領域に全面的参入してきた穀物メジャーの役割が大きかった。
3 具体的には,主として穀物メジャーがパッケージ融資を通して大規模農家の資金不足と
販路問題を同時に解決した仕組みの提供である。すなわち,化学肥料など使途を限定した
生産資材資金を融資し,返済はまだ作付けしていない生産物を担保に収穫後に返済する先
物取引の手法をとっているケースが多い。返済価格はCBOTの先物価格をベースにして事
前に決める。この借金と現物返済の契約は農家が発行する農産物証券(CPR)に化体する。
4 もちろん,ブラジルでは穀物メジャーなど巨大な外資が自国の農業の根幹を押さえるこ
とに対して経済面だけでなく,安全保障面でも危惧を持つ政治家は少なくない。穀物メジ
ャーの影響力膨張に不安を感じる農家も多い。政府の融資金利は8.75%であるのに,穀物
メジャーのパッケージ融資の実効金利は高い市中金利に近いケースが少なくなく,農家が
外資に利益を吸い上げられているとの懸念もある。
5 だが,ブラジル農業は,世界で最低水準の政府助成のもとでも急速な発展を遂げ,外貨
不足のブラジル経済に大きく貢献してきた。今後,世界最大の農産物供給国に向かうブラ
ジルでは,穀物メジャーのかかわりがさらに深まるとともに,中国,日本を含むアジアの
ブラジルへの食料依存もさらに高まる可能性が高い。日本にとって,ブラジルとどのよう
な関係を構築するかが新たなテーマとなってくるだろう。


日本は世界最大の食糧輸入国であり、輸入の大半を米国や中国に依存している。米中が今後も世界で最も重要な供給国の一つであることは変わらないであろうが、バイオ燃料の需要増加や人口増などから米中の穀物需要は確実に増加していく。そのため日本は食料自給率を高める努力を続けるのはもちろんだが、しばらくは穀物,食肉などの輸入依存は続けざるをえない。よって、食糧の多元化は非常に重要であり、愁眉の急である。そして、ブラジルとの関係強化は食糧安全保障上も大きな安定性をもたらすものである。

ブラジルの農業に対し、これまで日系人が大きな貢献をしてきた。日本人技術者が模索した大豆生産技術もブラジルのセラード全域に統一された技術として普及し、また周辺国にまで広がり、多くの農家の家計を潤している。 日本政府は彼ら日系人に頼るだけではなく、いまこそ国を挙げてブラジルに対しこれまでの開発援助といった枠を超えた総合的な資金や技術の供与をおこない、日伯の友好関係を進めていく時代に間違いなく来ているだろう。


世界最大:国営ペトロブラスはトゥピ油田・ガス田で確認埋蔵量50億~80億バレルの軽質油および天然ガスを発見 
ブラジル人が前途洋々の気分で浮かれるのも無理もない。国内経済が多様化、工業化した末の新油田発見だけに、ナイジェリアやベネズエラのように、石油という単一資源にすべてを依存せざるを得ないという“呪縛”がないのだから。食糧と石油を持つブラジルは非常に羨ましい国である。Bricksから一歩抜け出すのも意外ととはやそうだ。

●2016年夏季五輪開催地の第一次選考に、東京、シカゴ、マドリードとともに、 リオデジャネイロが通過している。
確かに経済成長は際立っている。2007年のGDP成長率は4,4%。石油の自給自足、世界一の鉄鉱石の輸出量、世界一のバイオエタノールの生産量、世界第二のアルミニウム輸出量など経済成長は加速している。開催都市の大陸もちまわり、そしてこのような都市の勢いからしても3回目の挑戦となる リオデジャネイロは有力だろう。あとは世界最悪の「格差社会」、米アカデミー賞にノミネートされた映画「シティ・オブ・ゴッド」で描かれる「治安悪化」、深刻な「交通渋滞」、「環境汚染」をどのように解決していくか?ブラジルの未来が人類の行方を知らしめるものになる気がする。

<2016年五輪候補都市 リオデジャネイロ>

<CITY OF MEN>

<CITY OF GOD>


●映画「おいしいコーヒーの真実

http://jp.youtube.com/watch?v=1ZtSo9gje9E&feature=related

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